2018年10月13日土曜日

夢・欲望

「ブラックスワン」見直しました。

前見た時とは違って、この作品のすごさを感じました。
人間の精神の二面性を演出と編集の妙で見せる。
ナタリーポートマン演じるニナの目まぐるしい複雑な心の動きをちゃんと見てる方が追っていける。彼女の混乱する感情を編集と演出の二面性で制作するすごい臨場感を持った映画。カメラが引きにならないこと、それとセットでニナの表情の作りのうまさがこちらにしっかりと感情を感じさせる。そして、いたるところに巧妙にセッティングされた肌に浮かび上がる鳥肌とたまに出てくる控えめだけど強い陶酔と魅力を感じさせる羽のリアルな演出は、ある部分ではリアルすぎて気持ち悪いがやりすぎないことで、リアルさを保っている。途中で見ながら、本当に手に汗握るじゃないけど、そういう緊張感が途切れることなく持続していく。最後のブラックスワンになった瞬間は、映画的なフィクションとリアル完璧にミックスされて鳥肌が立つほどかっこいい。すごいですよね、この美しさとかっこよさと儚さ、歯がゆさも入り混じるこの感覚。
2010年に公開になった当時、自分も映画館に見に行って、ゾクゾクした覚えがあるけれど、それがさらに蘇って見ていて気持ちよかった。ここへんの感じで制作された作品、他にも見たいな〜、と思っています。
監督はダーレン・アロノフスキー。

実は、2008年公開の『レスラー』も昔、友達の勧めで見ていました。

このレスラーという映画も曲者で、パッケージはB級映画なんだけど、中身は年老いの引退直前のレスラーを描いていて、彼がどうしようもないぐらいプロレスに熱中しているんだけど、歳をとったことでプロレスをやめることができない。痛みや老いに逆らいながらも仕事を続けるが、医者の宣告によって引退を決意。そこから、スーパーで働いて持ち前の凶暴さで同じ従業員を殴ってクビになったり、今まで会ってなかった娘に久しぶりに会っても全然うまくいかず、これまでの自分のどうしようもない気性を呪うしかなかいこの主人公。そんなことが続いて、やはりプロレスラーとして働くことしか自分はできないとそこに戻っていく、というどうしようもなく切ない、プロレスへの愛の映画。

この二つを考えてみると、この監督の作品には一筋の道筋があるようだ。
それは、プロフェッショナルで芸術的な業界、スケートなんかもそうだけど、そこで生まれる夢と美学、そして悩みと周りとの関係性・葛藤、それは、何かにもしかしたら形容できるかもしれない=これを映画、に当てはめてみる、という試み。

そういえば、同監督作品のこの「Requiem For A Dream - Trailer」映画も見ていた。

そして「Pi」 (1998) Official Trailerも。



同監督作品「マザー」も面白そう。



いや、まさか全然考えていなかったけど、この人の映画、とりあえず見ていることになって、面白い。自分が映画に求めているものってそういうものだったりするのかもしれない、と思ったり


そういえば、その美学的な観点のみを競うスポーツの世界、スケートもその一つであるけど、それについての映画「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」も、この映画は美しいと醜さと貧困を感じる映画でした。

欲望という観点から、作品制作をすることを考えるなら、自分の先生でもあった、ニナ・フィッシャーの映画「Tokyo Star」も子供達が東京・日本でスターを夢見て練習をする姿を描いていく、それが夢・バブル(泡)=人間の持っているいつかは消えてしまう目には見えない欲望=魂を人間の表面を撮影することで見せる映画だったと思う。
http://www.fischerelsani.net/texts/tokyo-star/




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